¿Geofact?

覚えたことのメモ

アイソタック則

関西国際空港の沈下予測に用いられたアイソタック理論のモデル化(1)について調べたのでメモ。

 

アイソタック理論は圧密に関する2つの仮説に遡る。1つは層厚が変わっても一次圧密終了時のひずみ量が変わらない、二次圧密は一次圧密終了後に生じるという考え(A仮説)。もう1つは一次圧密中にも二次圧密が生じるため、層厚が大きくなると一次圧密中のひずみ量が大きくなるという考え(B仮説)。アイソタック理論はB仮説の沈下をひずみ速度に着目して解釈する理論となる。

 

f:id:epicnight:20170903150544p:plain

     二次圧密に関する2つの仮説(2)

 

二次圧密が問題になった関西国際空港ではアイソタック理論を用いて二次圧密の沈下予測を行うという研究が多く行われている(例えば(3))。

この中で、(1)で提案されているモデルはひずみ速度と降伏応力を関連付けている。

まず、定ひずみ速度圧密試験を実施し基準圧縮曲線を定義する。次に長期圧密試験を実施し各ひずみ速度の圧縮曲線どうしの間隔を求める(二次圧密係数が一定と定義すると各ひずみ速度の圧縮曲線は互いに並行で等間隔となる)。

別の方法で荷重を与えた場合の増加応力と時間の関係を求めておく。各時間ごとの応力をその時点の降伏応力として先程のモデルからその時点のひずみ速度を算出する。

応力、ひずみ速度が決まれば、その時点のひずみ量が唯一に決定される。

 

このモデルの重要なところは水・土の連成解析に更にアイソタック理論を考慮すると収束計算が大変なので応力ー時間関係は別の方法で求めるというところ。アイソタック理論を用いて計算すると言いつつも他の方法で一度計算を行う必要がある。

 

これを実務で使用するには、少なくとも1度の計算で求められるようになる必要があるのではないかと思います。

 

(1)Watabe, Y., Udaka, K. and Morikawa, Y. (2008): Strain rate effect on long-term consolidation of Osaka bay clay, Soils and Foundations, 48(4), 495–509. 

(2)Ladd, C.C. Foott, R., Ishihara, K., Schlosser, F. and Poulous, H.G. (1977): Stress-deformation and strength characteristics, Proc. the 9th ICSMFE, 1, 421-494.

(3)Imai, G., Tanaka, Y., Saegusa, H. (2003): One-dimensional consolidation modeling based on the isotach law for normally cosolidated clays, Soils and Foundations, 43(4), 173-188.

不飽和土の構成モデル

不飽和土はこれまで勉強したことがなかったのですが、不飽和土の弾塑性モデルについての論文(1)を読む機会があったので要点をメモ。

 

  1. 提案されたモデルは、有効応力の変化、塑性変形に対する抵抗性および降伏応力の変化の2つのサクション効果を考慮したTwo Suctionモデル。
  2. 有効応力の変化は等価間隙圧を導入し定式化するが、基本的にはBishopの有効応力式と同様。
  3. 塑性変形に対する抵抗性および降伏応力の変化は状態面(不飽和土における正規圧密状態を表す面)により記述される。
  4. 下負荷面を考慮している。これは塑性変形への移行をスムーズにするためであり、不飽和土の特性とは無関係。
  5. 正規降伏面は破壊を規定する面と正規圧密挙動を規定する面がありCSL上で連結している。前者は非関連流れ則、後者は関連流れ則を用いる。
  6. 水分特性曲線には著者が提案したTangentialモデルを用いる。

論文内ではロックフィルダムを対象にしていたので締まった土もしくは岩が対象でしたが、これが軟弱な斜面(粘性土)に対しても使用できるかは不明。

このあたりは更に文献を探してみたい。

 

(1)向後ら、不飽和土弾塑性モデルを用いた実ダムの築堤・湛水挙動解析、土木学会論文集C、2010.3.

ダイレタンシー角

ALIDによる地震時変形解析には一般的にモールクーロンとドラッカープラガーを合わせたMC/DP弾塑性モデルが使われています。このモデルの入力パラメータにはダイレタンシー角が必要であり、膨張量が決まります。

 

最近、ALIDで過大な沈下量が算出されたとき、ダイレタンシー角が低すぎると考えられこれを大きくすることで沈下量を抑えるという対策がとられることがあるみたいです。

(おそらく出典はないと思います)

 

この方法、他の方法がないから仕方なくやっている感があるような気がします。

液状化地盤がそんなに膨張するとは思えないし、膨張量を決めるためのパラメータが原因で沈下量が大きくなるということはないと思います。

 

実際に過大な沈下量を出す原因になっているのはFLもしくはRLであるが、この値をいじることはできないので、唯一いじれそうなダイレタンシー角を大きくして、強引に膨張量を大きくしている気がします。

 

実際にダイレタンシー角を大きくする物理的な意味はないのだし他に改善法を見つけないといけないように感じます。

ALID

 盛土設計で液状化判定を行った後、液状化により安定性が損なわれると判定された場合は一般的にALIDによる変形照査が行われます。ALIDというのはソフトの名称だと思っていたんですが計算手法(モデル?)の名称なんですね。

 

 道路盛土の設計でALIDに関わったのですが、ALIDの変形に対する許容値というものが基準書を見渡しても見つかりません。河川堤防の設計指針では「外水位以下にならないように」という記述がありますが、道路盛土だと使えません。道路土工にも載っているので採用件数の多い解析手法だと思うのですが…

 

 地震時のことをどこまで考えるかは発注者の裁量次第なんですかね。